
朝ドラ『風、薫る』第7週第33話「届かぬ声」(2026年5月13日(水)放送)では、りんの担当患者さんが患部を痛がったときに様子を見てバーンズ先生が言ったのは、
Likely wound dehiscence.
字幕には「おそらく縫合不全です」と出ていましたが、英語として聞き取れました?
「wound(ウーンド)」は「傷」でわかるとしても、「dehiscence」はかなりの難単語ではないでしょうか
この言葉を知らないとなんて言ったかさっぱりですよね
今回のセリフは、これまでの授業英語や日常英語とは異なり、医療現場で使われる専門用語です
この記事では、
- likely の使い方
- wound の意味
- “wound dehiscence”の意味と医療英語の表現方法
- “Likely” vs “Suspected” vs “It appears”
- 日常・ビジネス会話への応用フレーズ
- 英語日記に使える例文テンプレート
などを勉強していきます
バーンズ先生が言ったセリフ、
Likely wound dehiscence.
(おそらく縫合不全です)
を分解してみます
このセリフは、主語や動詞(It is など)が省略された表現になっています
- Likely(副詞/形容詞): 「おそらく/〜の可能性が高い」
- 日常会話でも It’s likely to rain. (雨が降りそうだ)のように超頻出の単語
- Wound(名詞): 「傷/負傷」
- ナイフで切った傷や、手術の術創などを指します
- Dehiscence(名詞): 「裂開(れっかい)/(手術の縫合部が)開くこと」
- 医療現場で使われる専門用語で、日本語の「縫合不全(ほうごうふぜん)」にあたります
これらが組み合わさり、「(手術の)傷口が開いてしまっている可能性が高い」という意味になります
まずは文頭の「Likely」
これは 副詞として文全体を修飾する「おそらく」 という表現
医療・ビジネス現場では、断言を避けながらも高い確信度を示すときに多用されます
| 表現 | 確信度 | ニュアンス |
|---|---|---|
| Possibly ~ | 低(30%未満) | 「ひょっとしたら」 |
| Maybe 〜 | 低〜中(30-50%) | 「たぶん・もしかすると」 |
| Likely ~ | 中〜高(60-70%) | 「おそらく・たぶん」 |
| Probably ~ | 高(80-90%) | 「たぶん・十中八九」 |
| Certainly ~ | 非常に高(ほぼ100%) | 「確実に」 |
バーンズ先生が「Likely」を選んだのは、視診での所見をもとにした推定ですね
完全な文ではなく、「Likely wound dehiscence.」と名詞句で言い切るのは、緊張した場面での簡潔に伝える英語表現の典型
日本語でもそうですね
「wound」は「傷」全般を指しますが、医療文脈では特に手術や外傷による創傷(そうしょう)を指します
- 発音: /wuːnd/(ウーンド)※wind(風)とは別物!
- a wound → 名詞(傷)
- to wound → 動詞(傷つける)
“wound”(wuːnd)と “wind”(wɪnd)は発音が全く違います
混同しやすいポイントなので要注意
今回のハイライトともいえる難単語「dehiscence」
- 発音: /dɪˈhɪs.əns/(ディ・ヒス・エンス)
- 語源: ラテン語 “dehiscere”(開く・裂ける)
- 医学的意味: 手術後に縫合(ほうごう)した傷口が再び開いてしまう状態
「wound dehiscence」を日本語にすると「創傷離開(そうしょうりかい)」または「縫合不全(ほうごうふぜん)」
感染・栄養不足・過度な張力などが原因で起こります
「dehiscence」はもともと植物学の用語で「果実が成熟して裂開する」という意味
医学用語として借用され、「創が裂け開く」という意味で使われるようになりました
「Likely wound dehiscence.」は文法的に見ると、主語・動詞がない 不完全な文(断片・fragment) です
完全な文にすると:
- This is likely a case of wound dehiscence.
- It is likely wound dehiscence.
医療・緊急現場では時間が命。
無駄な言葉を省き、核心だけを素早く伝えるため、省略された表現になっているのではないでしょうか
英語ニュースの見出しや、緊急医療ドラマ(GreysやERなど)でも同じパターンがよく出てきますね
「Likely」は、医療現場でなくても幅広く使える表現です
| 場面 | 英語 | 日本語訳 |
|---|---|---|
| 会議の遅延 | Likely a scheduling conflict. | おそらくスケジュールの重複です |
| PC不具合 | Likely a software issue. | おそらくソフトウェアの問題です |
| 荷物の遅れ | Likely delayed at customs. | おそらく税関で遅延しています |
| 天気予報 | Likely rain by evening. | 夕方にはおそらく雨でしょう |
| 試験結果 | Likely a pass. | おそらく合格です |
- It is likely that ~:~である可能性が高い
- It is likely that it will rain tomorrow.
(明日は雨が降りそうです)
- It is likely that it will rain tomorrow.
- likely + 名詞
- Likely infection.
(感染症の可能性があります)
- Likely infection.
- Most likely:おそらく、十中八九
- Most likely, he forgot about it.
(おそらく彼は忘れています)
- Most likely, he forgot about it.
- It’s likely he’ll be late.
(彼は遅れそうです:予定について) - It’s likely to rain.
(雨が降りそうです:天気について) - That’s likely true.
(それはたぶん本当です:推測) - The wound is likely infected.
(傷口が感染を起こしている[化膿している]かもしれない) - My stitches are coming undone.
(縫った糸が解けてきちゃった:※dehiscenceを一般向けに言い換えた表現) - It is likely a minor issue.
(おそらく大した問題ではないでしょう) - My surgical wound has opened up.
(手術の傷口が開いてしまいました) - The stitches split open.
(縫合がパカッと開いちゃった)
医療用語の「dehiscence」は日常会話ではほとんど使わないと思うので、「likely」の使い方と「wound」を覚えよう
「おそらく~でしょう」を英語で伝えるとき、どのフレーズを選ぶかで話者の印象と確信度が大きく変わります
確信度(高)
↑ Confirmed ~. (確定・確認済み)
| It’s definitely ~. (確実に~です)
| It’s certainly ~. (きっと~です)
| It’s probably ~. (おそらく~です)
| ★ Likely ~. ← 今回のフレーズ(所見あり・高めの推測)
| Suspected ~. (疑いあり・まだ入口段階)
| It seems / It appears ~. (見た感じ~のようだ)
| It’s possibly ~. (もしかしたら~かも)
↓ It might be ~. (~かもしれません)
確信度(低)
「likely」と「suspected」、どちらも「まだ確定ではない」場面で使いますが、ニュアンスと使われるタイミングが異なります
| Likely | Suspected | |
|---|---|---|
| 品詞 | 副詞/形容詞 | 形容詞(過去分詞) |
| ニュアンス | 「おそらくそうだろう」確信度高め | 「疑いがある」まだ入口段階 |
| 根拠 | 観察・所見をもとにした絞り込み | 症状・状況からの初期推測 |
| 診断プロセス上の位置 | ある程度絞り込んだ段階 | 鑑別診断の入口 |
| 例文 | Likely wound dehiscence. | Suspected appendicitis. |
| カルテ・引き継ぎ | やや少なめ | 非常によく使う |
バーンズ先生が「suspected」でなく「likely」を選んだのは、創の状態を直接確認した上での発言だったから
もし患者の訴えだけで判断していた段階なら「Suspected wound dehiscence.」になっていたかもしれません
- Suspected appendicitis. → 虫垂炎の疑い
- Suspected pneumonia. → 肺炎疑い
- Suspected fracture. → 骨折疑い
- Suspected wound dehiscence. → 縫合不全の疑い(視診前・訴えのみの段階)
「Likely」や「Suspected」が根拠ある推測なのに対し、「It seems」や「It appears」は見た目や印象からの推測というニュアンスが加わります
| 表現 | ニュアンス | 使いやすい場面 |
|---|---|---|
| It seems like ~. | 「~のように見える」やや主観的 | 日常会話・観察所見 |
| It appears that ~. | 「~と思われる」客観的・フォーマル | レポート・公式文書 |
| It looks like ~. | 「見た目は~」視覚的な印象 | カジュアルな会話 |
- It seems like the wound is reopening.
(傷が再び開いているように見えます) - It appears that wound dehiscence has occurred.
(縫合不全が生じたと思われます)
医療現場では “It appears that ~” はカルテや報告書に適したフォーマルな表現
口頭では “Likely ~” や “Suspected ~” の断片文のほうがよく使われます
- 医療・法律・ビジネスで責任ある発言が必要な場面 → “Likely”(所見あり)または “Suspected”(所見前)
- カルテ・報告書など書き言葉 → “It appears that ~” または “Suspected ~”
- 友人との軽い会話 → “probably” や “I think” が自然
- フォーマルなメール・レポート → “It is likely that ~” と完全な文で
せっかくなので、医療ドラマなどに出てくる医療英語フレーズをまとめました
- wound dehiscence:縫合不全・創離開
- wound infection:創部感染
- surgical wound:手術創
- wound healing:創傷治癒
- open wound:開放創
- suture:縫合糸・縫合する
- incision:切開・切り口
- dressing change:包帯交換
- vital signs:バイタルサイン(体温・脈・血圧など)
- pulse rate:脈拍数
- administer medication:薬を投与する
- postoperative care:術後ケア
- sterile technique:無菌操作
- prognosis:予後
もしかしたら、こうした表現も『風、薫る』の今後のストーリーでも登場するかもしれませんね
- “Likely” の “L” と “R” の区別
日本人が苦手な L/R
“Likely” の最初の音は L(舌先を上の歯茎につける) - “wound” は「ウーンド」
“wound” の発音は /wuːnd/ - “dehiscence” はリズムで覚える
“dehiscence” の発音は/dɪ-HIS-əns/(ディ・ヒス・エンス)と、真ん中の “HIS” にアクセント
「dehiscence」はほとんど馴染みがない単語なので、聞き取れなくても仕方ない
むしろ「likely」、「wound」の2語を聞き取れるかどうかを意識しよう
自分もこれはわからなすぎてまず「縫合不全」の英語を調べました
英語を「知っている」から「使える」に変えるには、アウトプットが最短ルート
今日覚えた英語を使って3行ほどの簡単な英語日記からはじめてみよう
I accidentally cut my finger while cooking dinner tonight.
The wound is deeper than I thought, so it’s likely to leave a scar.
I need to keep it clean and put a bandage on it.
今夜、夕食を作っている時にうっかり指を切ってしまった
傷口が思ったより深くて、跡が残りそう
清潔に保って、絆創膏を貼っておかないと
- It is likely to rain tomorrow.
(明日は雨が降りそうです) - It’s likely I won’t meet the deadline.
(おそらく締め切りに間に合わないと思う) - The meeting will likely run over.
(会議はおそらく延長するだろう) - I likely passed the test.
(おそらくテストに合格した) - Next week is likely to be busy.
(来週は忙しくなりそうだ) - It’s likely just fatigue.
(少し疲れているだけだと思う) - That is likely correct.
(それはおそらく正しいです) - I likely caught a cold.
(風邪をひいたかもしれない) - It will likely rain today.
(今日は雨が降りそうだ) - She’s likely arrived already.
(彼女はもう着いていると思う) - He will likely come.
(彼は来るでしょう) - Most likely, I will stay home.
(たぶん家にいると思います) - I got a minor wound.
(軽い怪我をした) - It is likely to get better soon.
(すぐに良くなりそうだ) - The recovery is likely to take a few weeks.
(回復には数週間かかりそうだ)
朝ドラ『風、薫る』33話でのバーンズ先生のセリフ
Likely wound dehiscence.
(おそらく縫合不全です)
覚えるべきポイントは専門用語の「dehiscence」よりも
likely = おそらく、可能性が高い
日常会話でも使える便利な表現なので、ぜひ使いこなせるようになりましょう
英語圏では、断定を避けながら推測を述べるために
- likely
- possible
- suspected
などもよく使われます
「likely」と合わせて推測の表現も覚えておきましょう
「Likely wound dehiscence.」のような専門的なフレーズを実際に声に出して、ネイティブや英語講師に聞いてもらう——それが最速の上達法
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